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音楽大好き!表現するって楽しいな
〜リズムに着目した音楽づくりを通して〜  (小6)

名古屋市立相生小学校  前田 麻紀

1 はじめに

私は,子どもたち自ら考えたり判断したりしながら,自分の思いを表現することが音楽の楽しさであると考える。そして,子どもたちにもそんな音楽の楽しさをもっと味わって欲しいと強く願っている。

本学級の子どもたちは,歌を歌ったりリコーダーを演奏したりすることは好きだ。しかし,自分で歌い方を考えたり表現の仕方を工夫したりする場面になると,面倒くさがり消極的になってしまう。

そんな子どもたちが,「こんな風に表現したい」「表現を工夫するって楽しい」と思えるようにするためには,自分の考えなしでは成り立たない「音楽づくり」が有効だと考え,次のような指導の段階や手立てで実践に取り組んだ。

2 実践計画

実践1 耳をすますと…(5〜6月)
  ♪教材 「音おに」「まねまねゲーム」

音への関心が高まる

実践2 できたよ!「相生風ケチャ」 (9〜10月)
  ♪教材 「ケチャづくり」「リズムゲーム」「リズムゲームU」

リズムに着目することができる

実践3 一人一役,リズムカルテット (11〜12月)
  ♪教材「リズムアンサンブルづくり」「リズムゲームV」

角丸四角形: 自ら考えたり判断したりしながら,自分の思いを表現する子ども

3 実践の内容

実践1 耳をすますと・・・    (5〜6月)
  ねらい 「音おに」や「まねまねゲーム」を通して音やリズムへの関心を高めることができる。

(1) 「音おに」で耳を育てる

子どもたちの音やリズムへの関心を高めるため,ルールを工夫したりレベルを設けたりして音おにを行った。「音おに」とは,目隠しをしたグループの代表者が,離れた場所からグループの仲間が鳴らす音をたどってグループの陣地へ戻るはやさを競うゲームだ。

レベル1では各グループが違う打楽器を用いたところ,子どもたちは音の大きさにこだわっていた。

しかし,レベル2で,使う打楽器がトライアングルだけになると,音を聞き分けるため,音の大きさだけでなく,音の長さや響かせ方やたたく速さを変えたりする様子が見られた。

(2) 「まねまねゲーム」で「音おに」のヒントを

子どもたちはこれまでの音おにを通して,音の出し方の工夫だけでは限界を感じ,リズムの必要性を感じ始めていた。そこで,レベル3からは,教師が手でたたくリズムを子どもたちが模倣する「まねまねゲーム」を並行して行った。

レベル3では,ウッドブロックを用いた。これは,トライアングルに比べ,音を伸ばすことはできないが,高さの違う2種類の音を出すことができる。この楽器を使うことで,より一層リズムを意識することができると考えた。音おにを始めた子どもたちの中には,まねまねゲームで提示したリズムを演奏する姿が見られた。さらに,自分でもっと複雑なリズムを考え出す子も出てきた。

(3) 実践をふり返って

   本実践では,次のような成果と課題があった。
           ( ○・・・成果  ●・・・課題 )

○ 音おにの活動を通して,子どもたちの音への関心を高めることができた。

○ 音おににレベルを設けたことで,音の強弱から音色,リズムへと,音楽づくりへの関心を高めることができた。

○ グループで活動したことで,苦手意識をもつ子も,安心して取り組むことができた。

● まねまねゲームでは教師のリズムを模倣することはできたが,それを音おにの活動に生かすことができない子もいた。

これまで主体的に音楽に関わろうとしなかった子どもたちが,この実践を通して,自ら考えて取り組もうという姿勢に変化していったことは,大きな成果だったと考える。ここで高められた音やリズムへの関心を,次の実践ではリズムに着目した音楽づくりへとつなげていった。


実践2 できたよ!「相生風ケチャ」    (9〜10月)
ねらい 「ケチャ」のリズムづくりを通して,リズムやかけ合いの面白さを味わうことができる。また,リズム譜に表すことで,音符や休符の長さへの理解を深めることができる。

(1) 「まねまねゲーム」から「リズムゲーム」へ

 1学期に行ったまねまねゲームを発展させ,今度は子ども同士でリズムをつくる側とまねする側に分かれて行う「リズムゲーム」を行った。4人グループで行うことで,リズムづくりの苦手な子もグループの友達からアドバイスを受けることができ,安心してゲームに取り組むことができた。

(2) 「チャ」の付く言葉でリズムづくり

 単元「世界の音楽めぐり」で様々な国や地域の音楽を聴く中,子どもたちが最も関心をもったのが「ケチャ」だった。そこで,「相生風ケチャ」をつくることにした。

 子どもたちは5つのグループに分かれ,「チャ」の付く言葉で4分の4拍子,2小節のリズムづくりに取り組んだ。全てのグループのリズムが完成し,リズム譜に表す段階に入ったところで,多くの子どもたちのつまずく様子が気になった。そこで,毎朝のリズムゲームを改良し(リズムゲームU),リズムを視覚的にとらえる工夫をした。このことで,子どもたちは音符や休符の長さを正確にとらえることができるようになり,複雑なリズムへの関心も高まった。 

(3) みんなで合わせよう!

 できあがった5つのリズムを2小節ずつずらして重ねて行く方法(カノン風)で演奏した。自分たちのつくったリズムが他のグループの違うリズムと重なり合うことで,また違った響きが生まれて一つの音楽ができ様子を目の当たりにし,子どもたちは本当にうれしそうだった。 

(4) 実践をふり返って

本実践では,次のような成果と課題があった。
                  ( ○・・・成果  ●・・・課題 )

○ 子どもたちは,自ら考えてリズムをつくり出す楽しさを味わうことができた。
○ リズムゲームUでは,リズムを視覚的にとらえ,音符や休符への理解が高まった。

● グループでの活動にしたため,人任せになったり,発言力のある児童の考えばかりが強く反映されたりすることがあった。
● できたリズムをみんなで合わせたとき,表現方法を工夫するまでには至らなかった。

 これらの課題を踏まえ,次の実践ではより一層意図をもって創作する,「リズムアンサンブル」づくりに取り組んでいった。


実践3 一人一役,リズムカルテット    (11〜12月)
ねらい グループのテーマに合うリズムをつくり出す楽しさを味わうことができる。できたリズムの効果的な組み合わせ方や演奏方法を考え,工夫する楽しさやよさを味わうことができる。

(1) 「リズムゲームV」で曲想豊かに

 リズムゲームUをさらに発展させ,リズムゲームVを行った。今回はリズムをつくるだけでなく,曲想カードも加え,子どもたちの表現の幅を広げていくことをねらいとした。また,この後行うリズムアンサンブルづくりに生かすせるように,つまずいた時のヒントになるようにとの思いで行った。

(2) テーマを決めてリズムをつくろう!

 今回は4人グループで一つのリズムアンサンブルをつくることにした。グループで決めたテーマから一人一人のイメージをふくらませ,それに合うリズムや表現を考えた。

(3) 一人一人のリズムを組み合わせよう

 一人一人が考えたリズムを,グループでどのように組み合わせるかを考えた。考えやすいように,例として,4種類の構成パターンを提示した。こうして構成を決め,実際に組み合わせていくと,個人のリズムの変更が必要になる場合もあり,子どもたちは話し合いながらグループのリズムアンサンブルをつくり上げていった。また,中間発表会を設けて他のグループからのアドバイスや新しいアイデアを受け,さらに自分たちの表現を練り上げていく姿も見られた。

 (4) 実践をふり返って

本実践では,次のような成果と課題があった。
                    ( ○・・・成果  ●・・・課題 )

○ 一人一人がグループのテーマに合ったリズムをつくり出すことができた。
○ できたリズムの効果的な組み合わせ方や演奏方法を,グループで協力して考えることができた。
○ みんなで試行錯誤を繰り返しながら,リズムアンサンブルをつくり上げる楽しさやよさを味わうことができた。

● グループでの活動にしたため,個人の考えが生かされないこともあった。

4 実践を終えて

 これまで何となく吹いていたリコーダーを,音色や音の長さを考えて演奏する様子や,ブレスの位置や強弱に気を付けて歌う様子が多く見られるようになってきた。このことは,自分で考えたり判断したりしながら,自分の思いを表現することができるようになったことの結果だと考える。
  音楽以外の場でも,子どもたちは,進んで考え,意欲的に取り組む姿が見られるようになった。「次は曲をつくりたい!」という子どもたちも多く見られ,子どもたちの関心は,旋律や音の重なりに向きつつある。今後は,今回グループでつくったリズムアンサンブル同士を組み合わせたり,新たに旋律をつくって重ねたりして,学級全体での音楽づくりへとつなげていきたい。