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19年度・20年度目次

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 ○冬季研修会
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      ・第1回 合唱(指揮)
      ・第2回 合奏(器楽)
      ・第3回 合唱(発声・和声)

音楽関係行事
 ○年間行事予定
 ○ナゴヤ・マーチング&バトンウェーブ’09
 ○市小中学校連合音楽会
            (教育祭)
 ○市小学校バンド演奏会
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ワン・ポイント・アドバイス
 ○新学習指導要領@

個人研究
 ○教育研究派遣員紹介
 ○指導体験記録入賞者紹介
 ○私の研究

           4年2組は音楽の魔法使い
                〜音楽の諸要素を生かした表現活動に取り組んで〜
                                      名古屋市立白鳥小学校    光川知里

T はじめに
    ある日「サウンド・オブ・ミュージック」を鑑賞した。子どもたちは,「お父さんのように『エーデルワイス』をやさしく吹いてみたい。」という思いをもち,演奏し始めた。その中で,子どもの一人が「お父さんは,なめらかに音をつなげて歌っていたよ。だから私も息をゆっくり入れて,音をつなげるようにしたよ。」と発言した。
  私は「音楽の諸要素を生かして,思いをこめて表現できる子ども」を育てたい。ただ歌うことや楽器を演奏することは表面的に楽しい。しかし,生涯にわたって音楽を愛好するためには,ただ楽しいだけでなく,確かな考えや能力を子どもたちが身に付け,豊かな音楽表現をすることが必要である。これは,音楽にとどまらず,自分で考え自信をもって生きることにもつながっていくと考える。そこで私は,目指す子どもの姿に迫るため,次のような実践に取り組むことにした。

U 実践の手だて
    まず,聴いた曲の感じから音楽の諸要素を理解すること,次に,それを生かして表現することが大切であると考えた。そこで,@感じる場鑑賞から,曲の雰囲気を感じ取る。)Aつかむ場音楽の諸要素を理解する。)B深める場理解した音楽の諸要素を生かして表現する。)の3つの場と,さらにC広げる場(それまでに学んだ音楽の諸要素を生かして,自分で工夫して表現する。)を取り入れて実践を行うことにした。

V 実践の内容

 実践1   3拍子を4拍子に変身させよう! (6月)
    ねらい…拍子の違いを感じ取り,拍の流れをつかんで表現に生かす。

1 曲を聴いてみよう(@感じる場)
    まず,拍子の違う「メヌエット(3拍子)」「ラバースコンチェルト(4拍子)」「美中の美(2拍子)」の3曲を鑑賞した。「ラバースコンチェルト」は「メヌエット」を4拍子に編曲したものである。拍子によって曲の感じが違うことを感じ取る子どもが多かったが,違いがはっきり分からない子どももいた。

2 レシピからつかもう(Aつかむ場)
    鑑賞後,楽譜,拍子についての解説,指揮について表記した【レシピカード】をつくり,子どもたちに見せた。「小節の中の音符の長さは一緒かな。」と聞くと,聴いただけでは分からなかった拍数や拍子の違いに気付くことができた。

3 4拍子のエーデルワイス(B深める場)
   
以前に学んだ「エーデルワイス(3拍子)」を4拍子に編曲することで,拍子による曲の感じの違いをより理解できるのではないかと考え, グループで1曲のうちの4小節を担当して編曲することにし,合わせたものを「4拍子エーデルワイス」として演奏することにした。子どもたちは,拍数を数えて記譜したり,指揮を振って確かめたりして編曲をし,拍子を意識して演奏することができた。しかし,グループ内で音楽の得意な子どもに頼ってしまったり,一人の子どもの考えにかたよってしまったりする様子も見られた。そこで,次の実践では,演奏技術の向上を図りながら,一人一人が自分でやり遂げられる場面を取り入れることにした。

 実践2    「○○なちょうちょう」を作曲しよう (10月)
    ねらい…曲想の変化をつかんで表現に生かす

1 曲を聴いてみよう(@を感じる場)
   まず,曲の中でスタッカート(音を表記音符の半分の長さに切って演奏する)の部分とレガート(なめらかに演奏する)の部分に分かれている「パレードホッホー」「ゆかいに歩けば」「陽気な船長」を鑑賞した。子どもたちは,「ここまでは弾んでいるけれど,ここからはなめらかな感じがする」ととらえることができた。また,振りをつけてもよいことを伝えると,スタッカート部分では,歯切れよく行進したり,手を振ったりする様子が見られ,レガート部分では体を横に揺らす様子が見られた。
2 スタッカートを知ろう(Aつかむ場)
   鑑賞後,上記3曲の楽譜を配った。レシピカードには,スタッカートとレガートについて説明したものを用意し,歌ったり,リコーダーで演奏したりした。子どもたちは,歌うときはスタッカートとレガートの違いをはっきり表現することができた。しかし,リコーダーで演奏をし始めると,「なんかスタッカートもレガートも一緒に聞こえるよ」と言い出す子どもが出てきた。そこで,違いがはっきり分かるような演奏をしている子どもを小がkして,息の入れ方,タンギングの仕方について具体的に説明をした。そして,グループごとにそれぞれの演奏の仕方をチェックするようにした。すると,だんだん2つの違いを明確に演奏できるようになった。
3 ○○なちょうちょう(Bを深める場)

【編曲したちょうちょう】

   「ちょうちょう」に,一人一人がスタッカートで演奏する部分,レガートで演奏する部分を自分で決めて,曲の感じに合ったタイトルを付けることにした。
   発表は6人ほどのグループの中で行った。発表者の演奏後,グループ全体で楽譜を見てもう一度演奏した。こうすることで,もし発表者が楽譜通り演奏できなくても,発表者の思いが伝わると考えたからだ。実に個性豊かな「ちょうちょう」ができ,子どもたちは楽しく発表することができた。




 実践3    みんなで「4の2組曲」をつくろう (11〜12月)
    ねらい…これまで学んだ音楽の諸要素を生かして,イメージから曲をつくる

1 4の2組曲をつくろう(C広げる場)
【ワークシートの記述から】

   実践2の課題を改善できるよう,この実践では,クラス全体がそれぞれの作品を共有できるよう,組曲をつくることにした。それぞれが日常の学校で感じたことをテーマに1人が4小節作曲することにした。
   まずは,どんな場面を曲にするか,題材探しをした。それぞれのお気に入りの場面をワークシートに書き始めた。
   その後の曲づくりでは,基本的な和音進行に基づいた音を子どもたちが選んでリズムをつくるように設定した。口ずさみながらバイキングのように子どもたちは音を選んだ。子どもたちは,「運動場で走っているところだから,8分音符をつなげたリズムにしようかな」など,リズムパターンを参考にしながら,自分の曲のイメージに合う表現方法を考え出した。
   できた作品は,音色も考えて,ピアノ・木琴・鉄琴・オルガン・リコーダーから選んで発表することにした。始めは,見た目で楽器を選ぶ子どももいたが,自分のつくった曲をどのように表現したら自分の思いが表せるかを考え,楽器を選び出した。みんなの前で自分のつくった曲を発表する子どもたちの様子は,「こんなすてきな曲ができたんだよ」と自信にあふれ,満足したものであった。


W 実践のまとめ
   実践後のアンケートでは,「音楽が楽しくなってきた」「音楽の諸要素が分かるようになってきた」と答えた子どもが全体の3分の2ほどいた。これは,子どもたちが,音楽の諸要素を理解し,それを生かして,思いを込めて表現する楽しさをもち始めた表れであると考える。新しい曲に出会い,「4拍子の曲だね」「レガートでなめらかに演奏しようね」と,発言するようになった子どもたち。そこには,「楽しければなんでもいい」という姿はなくなり,音楽を心から楽しんでいる。キラキラ輝く子どもたちの姿は,音楽の魔法使いのようだ。今後は,学んだ音楽の諸要素をどの子どもにも確かな力として身に付けさせていきたい。そして,子どもたちにとって,音楽を学ぶことが楽しいものになるよう,支援方法や教材の開発に力を尽くしていきたい。