中学校音楽における確かな学びについて

    名古屋市教育センター指導主事
                          青 木 香 織

  ある中学校の合唱祭に行ったとき,中学生の合唱の美しいハーモニーや豊かな表現力に,思わず鳥肌が立ち,次の瞬間には涙が流れ落ちたことがあります。小学校での経験しかない私は,中学生のあの声の厚みや楽曲に対する深い理解は,小学生には真似ができないと少しうらやましく思いました。
  多くの生徒たちにとって,学校教育の中で,音楽を学習する最後の機会となる中学校において,音楽を通してたくさんの感動体験をしてほしいと願っています。しかしながら,年間35時間(1年生は45時間)という少ない時間数の中で,心情面の育成だけを重視したり,特別活動的な内容に偏った指導を行ったりしていては,音楽の授業で何を学んだかが曖昧になってしまいます。また,教師が「ここは強く歌いましょう」とか「ここはゆったりと」などと指示をしてばかりでは,生徒の主体性は育ちません。生徒が主体的に音楽表現を追求したのでなければ,表現をする感動も得られないと思います。
  生徒に主体的な音楽表現の追求をさせていくときのツールが[共通事項]です。右の楽譜は,広く中学校で扱われている「夢の世界を」という楽曲の一部です。この部分を[共通事項]をキーワードにして分析すると,まず,「拍子」が8分の6拍子ということです。この8分の6拍子を6拍でとらえるのか,2拍でとらえるのかによってずい分曲想が違ってきます。次に,「速さ」です。8492というのは,Moderato(=ほどよい速さ)に当たります。曲の速度を変えて歌ってみると,曲の速さによって曲の感じがいかに変わるのかが分かります。「強弱」は,ですが,歌詞の内容や旋律の流れから,どのような強さで歌うとよいかを考えさせることができます。また,最後のクレシェンドから後半部分との曲想の違いについてもふれることができます。
  このように,この曲を歌いながら[共通事項]について感じ取らせることが,音楽における確かな学力につながり,主体的な音楽活動を生み出すと考えます。